香港国家安全法第43条の施行規則が公布(参照資料:政府プレスリリース)
香港国家安全法第43条の施行規則が本日公布されました。明日7月7日からの施行となります。
人民代常務委員会は6月30日、香港国家安全法を通過させ、同法律は香港基本法第18条に従って基本法のAnnex IIIへ追加されました。香港政府は同日23時、同法律を公布・施行しました。香港国家安全法第43条は、国家の安全を脅かす案件を扱う際に、香港警察の国家安全部署が採ることができる措置を規定しています。そして、香港行政長官に対して、維護國家安全委員會(國安委)と共に、第43条に規定された措置を適用することを目的として、関連する施行規定を作成する権限を与えており、本日、初回の國安委に於いて、その権限が行使されました。
施行規則は、関連する役人が、国家の安全を脅かす犯罪の防止、鎮圧、またそれらに対する刑罰のような特定の措置をとる際に従うべきルールを認めています。また、香港が国家の安全を守るための強制メカニズムを改善することも認めています。以下が具体的な内容です。
家宅捜索
国家の安全を脅かす犯罪を調査するために、警察官は裁判官へ、証拠があると考えられる場所への家宅捜索令状を請求できる。緊急時などの特別な場合に於いては、Assistant Commissioner以上の警察官は、令状無しで、部下に、家宅捜索権限を与えることができる。調査中の人が香港から離れることの制限
警察官は裁判官に対して、国家の安全を脅かす犯罪を犯したと疑われる人間が、パスポートを差し出し香港から離れることを制限するための令状を要求することができる。パスポートを差し出した者は、警察局局長又は裁判官に対して、パスポートの返却と香港を離れる許可を申請することができる。資産の凍結、制限、没収、剥奪
保安局局長が、適切な根拠を元に、国家の安全を脅かす資産だと疑う場合、保安局局長は書面での通知をもって、その資産の取り扱いを禁止することができる。第一審裁判所は、律政司司長の申請をもって、犯罪に関連した資産の没収を命令することができる。ある資産が、国家の安全を脅かすと知っている者や疑っている者は、可能な限り早く警察に開示する義務を負う。そして、その後行われる調査の障害になると考えられるいかなる情報も他の者に開示してはならない。更に、律政司司長は第一審裁判所に対して、政府への支払い能力を確保するために、換金できる資産の取り扱いを禁止したり、換金できる特定の資産に対して課徴金を課すために差止命令や請求命令を申請することができる。また、律政司司長は裁判所に対して、国家の安全を脅かす犯罪により上がった収益を没収することと、定められた期間内での支払いを命ずることの申請ができる。メッセージの削除と援助要請
警察局局長が、適切な根拠を元に、ある電子メッセージが国家の安全を脅かす犯罪に加担していたり、それらを引き起こす可能性があると疑う場合、警察局局長は、保安局局長の承認のもと、指定した警察官に対して、そのメッセージの発行体・発行者、プラットフォームプロバイダー、ホスティングサービスプロバイダー、ネットワークサービスプロバイダーへ、そのメッセージの削除、そのメッセージへのアクセス制限、プラットフォームやその一部へのアクセス制限を要請する権限を与えることができる。
発行体・発行者が要請に対して即座に協力せず、インターネット上の関連情報が大衆に甚大な影響を与え続ける場合、警察官は裁判官に、関連する電子機器の差し押さえ令状を請求することができ、できる限り早くその情報を削除するためにいかなる行動をも採ることができる。特定の状況では、関連する役人は、サービスプロバイダーへの身分証明記録や暗号復元の要請権限を、警察官に付与するための令状請求ができる。外国と台湾の政治組織とエージェントへの香港に関する活動の情報提供要求
警察局局長が国家の安全を脅かす犯罪の防止や調査のために必要だと認める場合、警察局局長は保安局局長の承認のもと、書面をもって、外国や台湾の政治組織とエージェントに対し、所定の方法で、特定の期間の内に、所定の情報の提供を要求することが出来る。(活動内容、個人情報、組織の香港での資産、収入、収入源、支出を含む)通信傍受と秘密監視活動の申請
国家の安全を脅かす犯罪を効果的に防止し検知するために、また国家の安全に関する秘匿情報を守るために、あらゆる通信傍受と秘密監視活動は行政長官に申請されなければならない。それほど立ち入ったものではない場合は、行政長官が指名した警察の重役へ申請することが出来る。認可機関は認可を与える前に、申請された秘密監視活動が合理的なものか、必要な条件を満たしているかを確認しなければならない。香港国家安全法第43条に従って、國安委は警察が行使する措置を監督する責任を負う。一方施行規則では、行政長官は、上記監督責任を果たすために、國安委をサポートするための独立した個人を指名できるとしている。更に、保安局局長は、関連する申請と権力の行使について、香港警察の行動原則とガイダンスを提供する目的で、「運作原則及指引/ The Operating Principles and Guidelines」を発行する。香港警察の警察官は関連規則のもと行うあらゆる行動について「運作原則及指引/ The Operating Principles and Guidelines」に従う必要がある。「運作原則及指引/ The Operating Principles and Guidelines」は施行規則と共に公示される。情報の提供と資料の提出
国家の安全を脅かす犯罪や関連犯罪で得た収入の調査のために、律政司司長もしくは警察官は裁判所に対して、対象人物が特定の期間内に回答をするよう要求する命令や、関連情報や資料を提出するよう要求する命令を申請することができる。
上記の施策を効果的に行うために、違反規定も定める必要がある。例えば、国家の安全を脅かすメッセージを発行した者が、正当な理由なく、警察の削除要求に従わなかった場合、100,000香港ドルの罰金と、禁固1年の刑に処せられる。サービスプロバイダーが、国家の安全を脅かすメッセージの削除要求や、そのメッセージやプラットフォームへのアクセスの制限・停止要求に従わなかった場合や、支援要求に従わなかった場合、そのサービスプロバイダーは100,000香港ドルの罰金と禁固6ヶ月の刑に処せられる。また、外国や台湾の政治組織やエージェントが、警察の要求に従わず情報を提供しなかった場合は、その努力の上でも自らではコントロールできない理由がある場合を除いて、100,000香港ドルの罰金と禁固6ヶ月の刑に処せられる。提供された情報に誤りがあったり、不正確であったり、不十分なものであった場合は、当人が真実で正確で十分だと信じている場合を除き、100,000香港ドルの罰金と禁固2年の刑に処せられる。